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新建材の問題

 戦後、高度経済成長をむかえ、日本は豊かになりました。そこで求められたのは合理性です。良いところももちろんありましたが、周知のとおり、環境破壊などが進んだのも事実です。その1つの結果が公害病です。有名なところは下記の4つです。

・水俣病
(熊本県水俣湾で発生したメチル水銀による水質汚濁を原因とする)

・第二水俣病
(新潟水俣病:新潟県阿賀野川流域で発生したメチル水銀による水質汚濁を原因とする)

・四日市ぜんそく
(三重県四日市市で発生した主に硫黄酸化物による大気汚染を原因とする)

・イタイイタイ病
(富山県神通川流域で発生したカドミウムによる水質汚濁を原因とする)
 
 そして、現代にも残っているものとしてはアスベストです。今大変問題視されていますが、もとをたどると、1960年代から危険性が指摘されていましたが、日本では対応が遅くなり、今でも問題として残っています。

 アスベストの加工工場の労働者や周辺住民、建物の吹き付け防火材の施工業者などにからの飛散によって、中皮腫や肺ガンの発病が多くみられるといった状況です。これは、防火のために使用していたアスベストがこれらの病の原因と考えられています。

 大きな話しをしましたが、現代のシックハウス症候群も同じです。合理性、便利さを安易に求めた結果だと思います。何故このような経緯をたどってしまったのか? それを日本の伝統的な左官の歴史を例にとってご説明します。

 日本には古くから土壁を使ってきました。竪穴式住居から高床式住居に移行した時、壁が必要になり、そこから左官の歴史ははじまります。簡単にいうと、土壁から聚楽壁、漆喰壁に移行しました。聚楽壁というのは、京都の特定の地域で採れた土で仕上げた壁をいいます。この技術が飛躍的に伸びたのは江戸時代です。防火性から蔵が生まれ、茶の湯の世界から意匠性が生まれました。

 その後、開国、明治、大正、昭和と歴史は流れ、戦争があり冒頭に上げた合理性の時代になりました。左官の歴史はというと、漆喰壁は壁紙(塩ビのクロス)にかわり、聚楽壁は聚楽風の壁、繊維壁にかわりました。便利だったからです。左官の伝統の多くはここで失われました。

 私も含め、多くの方が「塗り壁はポロポロ落ちてきて困る」と思ってないでしょうか。これは実際は間違いです。本来の伝統を引き継いだ左官で仕上げた漆喰、聚楽の壁はポロポロ落ちてくることはありません。

 戦後、簡易な方法での施工がこのポロポロ落ちる壁を生み出しました。それが厄介だったので多くの壁は塩ビのクロスになりました。または、接着剤で固められた塗り壁に変わりました。これはポロポロは落ちてきませんが、接着剤で固めたことにより新たな問題が出てきました。

 化学物質で作られた接着剤を使った建材や化学物質を使い作られた建材。これが新建材です。大量に生産することができ、見た目にも綺麗です。高度経済成長期に新建材を使わなかった家はほとんどないでしょう。たくさん家を作る必要もありましたし、より便利で使いやすい建材が求められてもいました。そんな時、この新建材は大変都合がよかったのです。

 そして、シックハウス症候群を生み出したのです。化学物質を使った接着剤。つまり、ホルムアルデヒトを使った接着剤は、安価で強度のある新建材を作るのに適していました。また、例えば塩ビの壁紙を早く強く貼り付けるのに適した接着剤でした。しかし、そのホルムアルデヒトが人体に悪影響をきたしシックハウス症候群を起こす一つの原因になりました。

 塩ビのクロスは塩化ビニールに可塑材という油を混ぜて柔軟性を持たせた壁紙です。紙にそのやわらかくなった塩化ビニルを吹きつけて作ります。紙には虫に食われないように有機リン系の農薬を染み込ませます。それをホルムアルデヒトで作られた接着剤で家中に貼るのです。洗面所などに使われるクッションフロアーも同じ塩ビ製品です。

 床には合板のフローリングを貼ります。合板とは材木を桂剥きした薄い木(ベニヤ)を何層にも接着剤で貼り合せ強度のある板にしたものです。その合板の一番上には綺麗な木材を貼り、水が入り込まないように表面にウレタン塗装を施し、見た目をよくしたもの。これが合板のフローリングです。
 今、皆さんの家の部屋の表面に見える建材はどうですか。塩ビのクロス、合板の床。新建材が使われていると思います。目に見えないところには接着剤が使われています。今の日本の家の実状です。この様に作られた家が健康なはずはありません。

 だからこそ、この新建材の普及と共に、シックハウス症候群の問題が出てきたのです。

また、現在この新建材の使用によるシックハウス症候群と診断される多くの方が、化学物質過敏症と診断される方も多くなっています。これは、人間が許容量以上の化学物質を体内に蓄積してしまった結果引き起こされる症状です。

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